- アルトワークス第2世代と「天才」粟津原
- 【第2世代 1988年~】
1988年9月、アルトがフルモデルチェンジ。アルトワーク
スも刷新された。プレーンな面とシンプルなラインで構成されたベースモデルに対し、ワークスには独自の丸目マスクを与えられてアグレッシブな表情を形成。直3DOHCインタークーラーターボ64ps+4WDと基本的なスペックこそ変わらないものの走りの切れ味は研ぎ澄まされ、実に160mmもの延長を果たしたホイールベースがクラスを超えた直進安定性に寄与した。 - 90年3月には軽自動車の新規格化に伴い、エンジンを550ccから660ccのF6Aに換装。最高出力は同一ながら、大幅なトルクアップにより戦闘力は増大した。89年2月、のちにスズキスポーツ黄金時代を築く粟津原 豊(あわづはら・ゆたか)選手のドライブで初参戦すると、第3戦で早くも優勝。そのまま連勝街道を突き進みその年のシリーズチャンピオンを獲得。さらに90年、91年と3年連続でラリー界の王座に着いた。
- 90年2月にはフランスのスノーリゾート・シャモニー市で開催された「第11回シャモニー24時間氷上レース」に出場した。
アルトワークスがエントリーしたクラスには、パジェロのパリダカ仕様をはじめ、300ps級のプロトタイプマシンが勢ぞろい。ドライバーにもジャン・アレジなどF1ドライバーまで登場。ここにわずか550cc、70psのマシンが参戦したものだから、大観衆はどよめいた。
結果は5位。24時間を走り切ったマイクロモンスターの激走に、惜しみない拍手が送られたのは言うまでもない。 - このモデルで特筆すべきは、92年6月の「ワークスR」追加である。全日本ラリー選手権(Aクラス)ではエンジンやトランスミッション、マフラーの変更および改造が禁止されていたため、ダイハツ・ミラは91年に競技用グレードとして「X4R」を誕生させ、アルトワークスの牙城を崩そうと意気込んでいた。
- ワークスRはこれを迎え撃つために誕生した。専用ターボチャージャー、インタークーラーやラジエターファンの大型化、クロスレシオ化されたトランスミッション、LSDなどで武装。軽量化のためにリヤシートがバン(商用車)用、ボディカラーは白のみ。交換が前提のホイールはスチール、タイヤはバイアスというもの。鈴木自動車(当時)の生産ラインで製造されたモデルでありながら、ワークスRの企画はスズキスポーツが担当したのは有名な話だ。ワークスRはその後も進化を続け、最終型では鍛造ピストンを奢るなど、日本人に最も身近なモンスターマシンとしてその地位を不動のものにしたのである。
- 【「天才」粟津原 豊選手の加入】
この時期のスズキスポーツにとって最大の出来事が、粟津原 豊(あわづはら・ゆたか)選手の加入である。ダートトライアルでランサーターボを駆り、若手注目株として頭角を現しはじめ、86年からマシンをスズキ・カルタスにスイッチ。スズキスポーツとの関係を深めていく。そして89年2月の全日本ラリーAクラスでワークスドライバーに抜擢。初年度でチャンピオンに輝くと翌年以降も快進撃を続け「天才」の名をほしいままにした。 -
アルトワークスで出場した89年から2000年までの12年間で実に9回ものシリーズチャンピオンを獲得する。全日本ダートトライアルでは主にカルタスで出場。12年連続チャンピオンという前人未到の記録を打ち立てた。その後、スズキJWRCのチーム監督に就任した粟津原は、イグニス/スイフトによる3回のJWRCチャンピオン、さらに史上唯一の純国産WRカー・SX4 WRCによる挑戦へと邁進。
ドライバーとしては2006年のWRCラリージャパンにおいて、スイフトSuper1600で二輪駆動の最上位を獲得。2012年にはTOYOTA 86のデビューとともに全日本ラリーに復帰し、スポット参戦ながら好成績を挙げ、今なお若手選手の目標であり続けている。モンスタースポーツのチューニングパーツやコンプリートカーの開発に深く関わっていることはいうまでもない。 -
To be continued
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