公式レポートと一味違った視点から見たラリー旅行記。 ラリーレポートだけではお伝えしきれない、ラリーの現場の楽しさ、興奮、景色の美しさなどを、随行したスタッフが旅情たっぷりにお届けします。 ラリーはしばしば観光地として有名なところを拠点にロング・ドライブする競技。 実際に観戦に行った気分で、ラリー観光をお楽しみください!>
飛行機がアジャクシオの空港に入るルートは2つ。海側から直接降り立つルートと、いったん町をまたいで山間に入り、旋回して港に戻るルート。この飛行機は山ルートだったのですが…谷間の乱気流を受けながらの急な角度での旋回で機体が大きく傾いて、ちょっとスリリングな体験でした。
上の写真のフェリーが止まっている近くの護岸で某チームのスタッフが本格的な装備でおもむろに釣りを始めました。…透明な青い水面に光るたくさんの魚影を見ていると、何となくその気持ちが分かります。
ここがサービスパークのチェックポイント(CP)。奥の方にリフューエルゾーン(給油場所)が見えます。
チーズとマッシュルームとトマトのガレット。蕎麦粉のクレープで惣菜を包んだガレットは、ブルターニュ地方が起源の料理ですが、コルシカ島では山で豊富に取れる栗の粉が蕎麦粉の代わりに使われていることもあります。コルシカらしい具というと、名産のヤギ乳の生チーズ、生イチジクなどマキで取れる果物、ロンツやフィガデーリといった肉加工品。どれも捨てがたいです。
コルシカはフランスの南の地中海上、コルシカの前の週のカタルーニャはフランスのお隣スペインの南東部。どちらも景色良し、食事良し、治安も良好。そこで今回はちょっとリッチに、カタルーニャとコルシカをどっちも満喫する2週間プランをご提案します。 今回の旅行でも、レンタカーは必須。バルセロナで借りてアジャクシオで返すよう手配します。フェリーでは車ごと移動。ラリー期間のサロウでの宿は早めに確保を。宿はやっぱり出国前に予約しておくと安心です。エアラインは何でもOKですが、スペインまでの直行便が出ていないことと、コルシカからの帰り方に注意しましょう。一番楽なのは多分エールフランス(AF)。アジャクシオの空港からオルリー空港に出て、そこからバスでシャルル・ド・ゴール(CDG)空港に行けば、そこから直行便で日本に帰れます。旅程表はAF利用で考えてみました。 スタートやSSなどポイントを押さえつつ、ついでにしっかり観光するのがラリー観戦旅行の醍醐味。ドライブして車窓から景色を眺めたり、街中やビーチを散策したり、郷土料理に舌鼓を打ったり…。以下はそんなお楽しみのヒントです!
レグ3観戦 表彰式 アジャクシオ-オルリー空港-パリ(CDG)
■カタルーニャ ● 観光案内 ラリーの拠点となる港町サロウから東に10km弱行くと、サロウより少し大きなタラゴナという町に着きます。タラゴナは「地中海のバルコニー」とも呼ばれ、円形競技場やカテドラル、水道橋といった古代ローマ時代の遺跡が見られる綺麗な港町です。タラゴナの北から高速道路AP-7に乗って東に40km程行った内陸部には、小規模な酒蔵(スペイン語でボデガ。普通のワインの他、シャンパーニュと同じような発泡性ワイン「カヴァ」が有名)の集まるサン・サドゥルニ・ダノイアやヴィラフランカ・デル・ペネデスといった村があります。また、タラゴナから高速道路AP-7に乗り、途中分岐で海側を走るC-32に入ってから30km程行ったところのシッチェスも感じのよいビーチリゾートで散歩に最適。それにしても海岸を見ていると…う〜ん、夏に来たい!! ● グルメ シーフード料理全般が有名。ブティファラなど肉の加工品や、地元の彩り豊かな野菜もおいしいので、居心地の良いバルでタパス(小皿に盛られたおかずの総称)を色々つまみ、伝統的なシーフードたっぷりのパレリャーダ(サフランを使わないパエリア)を食べ、食後にクレマ・カタラナ(冷やしたカスタードクリームの表面に砂糖を振って独特の焼きごてで焼いてキャラメル状にしたもの)なんか食べたら、もうご機嫌です。 ● お土産 革製品や銀製品が有名。14:00から16:00くらいまでのシエスタ(お昼休み)はお店が閉まっているので注意。ワインは宅配便にして身軽に帰りましょう。 ■コルシカ島 ● 観光案内 外周ざっと400kmのこの小さな島は高低差が激しく変化に富んだ地形で、海岸沿いは温暖な地中海性気候ですが、標高の高い山の頂には夏でも雪が見られます。ラリーの拠点となるアジャクシオは島の南西に位置する閑静なリゾート地。ナポレオンの生誕地として知られ、ナポレオングッズが売られていたりします。古くは地中海の交易や軍事の拠点として絶えず周辺国に狙われ、宗教や政治に翻弄されてきたコルシカ島。アジャクシオから北西に向かって2000km級の山間の峠道を行くと、途中の村々でかつて争乱を避けた人々が険しい山にこもり自給自足を続けてきた息遣いを感じることが出来ます。北西端まで行くとバスティアという町で、『星の王子様』の作者サン・テグジュぺリが最後に飛び立った飛行場があります。 ● グルメ とても自然が豊かな島で、栗をはじめ、マキと呼ばれる潅木の原生林で採れる木の実や海の魚、野生の猪など、古代の採集・狩猟生活を思わせるような食材が現代でも食卓を彩り、天の恵みを実感します。マキで採れる果実を使ったビールやリキュール、栗から作ったビールはコルシカ島ならではのアルコール飲料。放牧されて半分野生化しているような豚の肉を加工した生ハムやサラミや燻製肉、山羊の乳を固めた原始的な生チーズは、一度お試しの価値ありです。 ● お土産 一押しは蜂蜜。野生のミツバチがマキに咲く花を飛び回って集めた蜜は、味・香りともに最高級。シーズンによって花の種類が変わるので、ミエル・ド・マキ・ド・プランタン(春のマキの蜂蜜)、ミエル・ド・マキ・デ・テ(夏のマキの蜂蜜)、ミエル・ド・マキ・ド・トンヌ(冬のマキの蜂蜜)というふうに区別されます。味も色も季節で変わります。ミエル・ド・シャテニュレ(栗の蜂蜜)も名産品です。
それではよい旅を! Buen viaje! 【スペイン語】/Bon voyage!【フランス語】