公式レポートと一味違った視点から見たラリー旅行記。
ラリーレポートだけではお伝えしきれない、ラリーの現場の楽しさ、興奮、景色の美しさなどを、随行したスタッフが旅情たっぷりにお届けします。
ラリーはしばしば観光地として有名なところを拠点にロング・ドライブする競技。
実際に観戦に行った気分で、ラリー観光をお楽しみください!>

 
     
 
Rd.7 ラリー・ド・フランスーツール・ド・コルス
 
飛行機の高度が下がってきて、HQの置かれるアジャクシオが見えてきました。海岸沿いの平地だけが町で栄えていて、すぐその奥は山地になっています。画面中央右より、大きなフェリーが止まっているあたりの埠頭がサービスパークとなります。町を離れた海岸沿いの潅木が密生している地帯はマキと呼ばれ、コルシカの豊かな自然の象徴です。
 
 

飛行機がアジャクシオの空港に入るルートは2つ。海側から直接降り立つルートと、いったん町をまたいで山間に入り、旋回して港に戻るルート。この飛行機は山ルートだったのですが…谷間の乱気流を受けながらの急な角度での旋回で機体が大きく傾いて、ちょっとスリリングな体験でした。

 
 
空港からサービスパークへの途中にあるリゾートホテルの中。ハイシーズンは観光客で賑わうのでしょうが、ラリーの時期はオフシーズンなので空いており、もっぱらラリー関係者の宿泊場所になります。ここにはフォード、ルノー、シトロエンのJRCチームが泊まっていました。
 
 
ホテル裏手のビーチ。対岸にぼんやり見えているのがサービスパーク。対岸のこちら側はリゾートホテルが多く、綺麗な砂浜が広がっていて夏の賑わいを想像させます。
 
 
リゾートエリアを後にしてサービスパークに向かいます。この道はどうやら新しい道のようで、高速道路のような快適な道でした。少し市街地を離れただけなのに大きな山が見え、自然が豊かなことを実感します。ちなみに右側通行なので、左側が追い越しレーンです。
 
 
だんだんサービスパークに近づいてきています。海岸沿いはいかにも地中海気候で、椰子並木に南国の雰囲気すら感じます。思わずラリーに来ているのを忘れてリゾートに遊びに来た気分になってしまいそう!
 
 
街中で見かけた初期型のエスクードです。こちらでは新旧問わずエスクードをよく見かけました。本来の幌の色は黒なので、自分で張り替えたのでしょうか…。
 
 
町並みはこんな感じで柔らかな色合いのあまり背の高くない建物が連なっています。街路樹は椰子で、いかにも地中海の町らしい雰囲気。
 
 
右下の赤い車のリアウィンドウにご注目。路上駐車と思いきや、なんとこの車、売り出し中のようで、気に入ったら連絡してくださいと、値段と連絡先が張り紙されています。こんな車がそこかしこに停まっています。オープンな個人売買ですね。左の奥の方にセレモニアルスタートの台とカメラマン用の席が見えます。
 
 
カラフルなテントで埠頭が埋まっています。ここが今回のサービスパーク。海に面している、という表現がしっくり来ます。手前左側のビビッドな黄色のテントがスズキワールドラリーチームのピットです。
 
 
サービスパーク出口のゲート脇には超高級クルーザーとクラシカルな帆船が…。いかにも地中海のリゾートらしい風景ですね。
 
 
サービスパークのすぐ裏に停泊中の、サルディニア島‐コルシカ島間を往復する大型フェリー。片道所要時間は11時間とのことですが、飛行機より安く、また波が穏やかなので快適ということで、あまり急ぎでなければこちらを使いたい、という人も多いようです。
 
 

上の写真のフェリーが止まっている近くの護岸で某チームのスタッフが本格的な装備でおもむろに釣りを始めました。…透明な青い水面に光るたくさんの魚影を見ていると、何となくその気持ちが分かります。

 
 
紺碧という言葉がふさわしい、透明水彩の絵の具を溶いたような透明なエメラルド色の海です。うっとりしてしまうくらい綺麗。…それにしても、岩にくっついている黒い栗のイガのようなものが気になります。
 
 
よく見てみると、結構大きなウニです。日本人としては思わずお寿司を思い浮かべてしまうところですが、食べられるウニではないのだそうです。残念!!
 
 
いよいよセレモニアルスタートです。スタート台のゲートをスイフトスーパー1600がゆっくりとくぐります。これはウルモ選手のマシン。
 
 
そしてこちらが歴史的瞬間を捉えた一枚。スズキSX4WRCがついに、デビュー戦の入り口ともいえるこのゲートをくぐりました!
 
 
すっかり人だかりが出来てしまってスタート台がまったく見えません。いつのまにか見晴らしのよさそうな電話ボックスの上に若者たちが陣取っていました。もしかしたら一番の特等席かもしれません。
 
 
セレモニアルスタートを祝し、港の上空を花火が照らします。雲が無く風が少なく絶好の花火日和です。
 
 
埠頭の面積は限られているので駐車場の確保が大変!?なんとラリー期間中はこの大型フェリーがチームスタッフの駐車場になっていました。とはいえ、海面が穏やかなので普通の立体駐車場感覚。ちなみにスズキのプレスカンファレンスもこのフェリーの船室に100名以上のプレス・ゲストを招いて盛大に行われました。
 
 
黒人の横顔は「テスタ・モーラ」と呼ばれるコルシカ島のシンボルで、1755年に当時コルシカ島を支配していた都市国家ジェノヴァからの独立運動の際は国旗にも用いられた絵柄です。起源はもっと古いようで、「王を暗殺から救ったムーア人に送られた鉢巻がその目を覆うまで国が続く」という説など、いくつかのエピソードが伝えられています。
 
 
これはヘッドクォーターの建物です。ヘッドクォーターというのはラリーの総合運営事務局で、競技進行についての全部の情報がここに集まり、ここから発信されます。この建物は3階建てで、1階にアドミニストレーション、3階に大きなプレスルームが設けられています。
 
 
奥の00(ゼロゼロ)カーは各ステージ開始前にステージを走り、コースに危険が無いかチェックする車(コースカー)です。0(ゼロ)カーは00カーの後、ラリーカーが来る直前にコースを走り、最終チェックします。公道を走るラリーを安全に行うための非常に大事な役割を担っています。
 
 

ここがサービスパークのチェックポイント(CP)。奥の方にリフューエルゾーン(給油場所)が見えます。

 
 
リフューエルゾーンにクローズアップ。ラリーカーは指定された給油場所で決められたガソリンしか入れることが出来ません。一日に長い距離を走るので、給油場所はこのサービスパークのほか、長いSSの後などにも配されています。ちょうどSX4が給油中です。
 
 
主催者の販売しているグッズのプチ・テディ。よく見ると胸元にラリーカーがプリントされたTシャツを着ています。
 
 
スズキワールドラリーチームのサービステントのまわりには常に人だかりができていて、関心の高さがうかがえます。
 
 
各国のプレスクルー達がテントの中に入り込んで、実戦にデビューしたばかりのSX4WRCやドライバーの二コラ・ベルナルディ、またエンジニアやメカニックを取り囲んでいました。まさに取材の嵐!!
 
 
スズキワールドラリーチームのホスピタリティテント。ここでチームのスタッフやゲストが食事をします。JRCではほかのJのチームと合同のホスピタリティテントだったので、自分たちだけのテントというのは新鮮です。
 
 
こちらはJRCのサービステント。これはセレモニアルスタートが行われた木曜日の1コマ。P-G選手とウルモ選手がタイトルを争う一戦だっただけに、パドックにも緊張感が漂っていました。まさに「嵐の前の静けさ」です。
 
 
プレスの取材に応じて腕相撲をするP-G選手とウルモ選手。ちなみに勝者はP-G選手でした。2人ともに、良い感じの緊張感と高揚した雰囲気がありました。
 
 
ヨーロッパでは各国で色々なエナジードリンク(栄養ドリンク)を売っています。これはマッドクロック。やや甘さ控えめで、いわゆる栄養ドリンクの味ですが、飲みはじめに少し舌がピリッとします。250ccは多いと感じるかも…。ホスピタリティテント内で撮影。
 
 
フランスやイタリアでは、リゾート地に限らずお店の外にイスとテーブルが出ていてテラス席になっているカフェが一般的ですが、ラリー開幕前にランチを取ったここも、そういうカフェの一つ。外の空気を吸い町並みを眺めながら気取らずリラックスできる雰囲気が魅力的。
 
 

チーズとマッシュルームとトマトのガレット。蕎麦粉のクレープで惣菜を包んだガレットは、ブルターニュ地方が起源の料理ですが、コルシカ島では山で豊富に取れる栗の粉が蕎麦粉の代わりに使われていることもあります。コルシカらしい具というと、名産のヤギ乳の生チーズ、生イチジクなどマキで取れる果物、ロンツやフィガデーリといった肉加工品。どれも捨てがたいです。

 
 
みんなが食事を終えたタイミングでおもむろに追加オーダーし、アイスクリームたっぷりのデザートクレープを食べ始めたのはメカニックのまとめ役、工場長のアカシオさん。きりっとした顔に似合わず甘党ですね。アカシオさんだけずるい、と思ったらミシェル・ナンダンさんも・・・。
 
 
最後にコルシカの名物をご紹介。コルシカ島の形に盛られた「生ハム」です。急な山の斜面を自由に駆け回り栗を食べて育つコルシカ島の豚肉は、ヨーロッパでは最高級の豚肉として知られています。島内では比較的安く入手できますが、検疫の関係で日本に持ち帰れないのが難点!!
 
  Travel Advice
 

コルシカはフランスの南の地中海上、コルシカの前の週のカタルーニャはフランスのお隣スペインの南東部。どちらも景色良し、食事良し、治安も良好。そこで今回はちょっとリッチに、カタルーニャとコルシカをどっちも満喫する2週間プランをご提案します。

今回の旅行でも、レンタカーは必須。バルセロナで借りてアジャクシオで返すよう手配します。フェリーでは車ごと移動。ラリー期間のサロウでの宿は早めに確保を。宿はやっぱり出国前に予約しておくと安心です。エアラインは何でもOKですが、スペインまでの直行便が出ていないことと、コルシカからの帰り方に注意しましょう。一番楽なのは多分エールフランス(AF)。アジャクシオの空港からオルリー空港に出て、そこからバスでシャルル・ド・ゴール(CDG)空港に行けば、そこから直行便で日本に帰れます。旅程表はAF利用で考えてみました。

スタートやSSなどポイントを押さえつつ、ついでにしっかり観光するのがラリー観戦旅行の醍醐味。ドライブして車窓から景色を眺めたり、街中やビーチを散策したり、郷土料理に舌鼓を打ったり…。以下はそんなお楽しみのヒントです!

【2007年10月】
行程
宿泊
3
日本-パリ(CDG)経由-バルセロナ空港 機中
4
バルセロナ-サロウ 
スタート見物
サロウ
5
レグ1観戦 
サービスパーク見学
サロウ
6
レグ2観戦 
カタルーニャ地方観光
サロウ
7
レグ3観戦 表彰式 
サロウ-ペルピニョン
ペルピニョン
8
ペルピニョン-マルセイユ 
マルセイユ観光
マルセイユ
9
マルセイユ-アジャクシオ(フェリー) 船中
10
アジャクシオ着 
コルシカ島西岸観光
アジャクシオ
11
コルシカ島南部観光 
スタート見物
アジャクシオ
12
レグ1観戦 
サービスパーク見学
アジャクシオ
13
レグ2観戦 
アジャクシオ観光
アジャクシオ
14

レグ3観戦 表彰式 
アジャクシオ-オルリー空港-パリ(CDG)

機中
15
パリ(CDG)経由-日本
 

カタルーニャ

観光案内
ラリーの拠点となる港町サロウから東に10km弱行くと、サロウより少し大きなタラゴナという町に着きます。タラゴナは「地中海のバルコニー」とも呼ばれ、円形競技場やカテドラル、水道橋といった古代ローマ時代の遺跡が見られる綺麗な港町です。タラゴナの北から高速道路AP-7に乗って東に40km程行った内陸部には、小規模な酒蔵(スペイン語でボデガ。普通のワインの他、シャンパーニュと同じような発泡性ワイン「カヴァ」が有名)の集まるサン・サドゥルニ・ダノイアやヴィラフランカ・デル・ペネデスといった村があります。また、タラゴナから高速道路AP-7に乗り、途中分岐で海側を走るC-32に入ってから30km程行ったところのシッチェスも感じのよいビーチリゾートで散歩に最適。それにしても海岸を見ていると…う〜ん、夏に来たい!!

グルメ
シーフード料理全般が有名。ブティファラなど肉の加工品や、地元の彩り豊かな野菜もおいしいので、居心地の良いバルでタパス(小皿に盛られたおかずの総称)を色々つまみ、伝統的なシーフードたっぷりのパレリャーダ(サフランを使わないパエリア)を食べ、食後にクレマ・カタラナ(冷やしたカスタードクリームの表面に砂糖を振って独特の焼きごてで焼いてキャラメル状にしたもの)なんか食べたら、もうご機嫌です。

お土産
革製品や銀製品が有名。14:00から16:00くらいまでのシエスタ(お昼休み)はお店が閉まっているので注意。ワインは宅配便にして身軽に帰りましょう。



コルシカ島

観光案内
外周ざっと400kmのこの小さな島は高低差が激しく変化に富んだ地形で、海岸沿いは温暖な地中海性気候ですが、標高の高い山の頂には夏でも雪が見られます。ラリーの拠点となるアジャクシオは島の南西に位置する閑静なリゾート地。ナポレオンの生誕地として知られ、ナポレオングッズが売られていたりします。古くは地中海の交易や軍事の拠点として絶えず周辺国に狙われ、宗教や政治に翻弄されてきたコルシカ島。アジャクシオから北西に向かって2000km級の山間の峠道を行くと、途中の村々でかつて争乱を避けた人々が険しい山にこもり自給自足を続けてきた息遣いを感じることが出来ます。北西端まで行くとバスティアという町で、『星の王子様』の作者サン・テグジュぺリが最後に飛び立った飛行場があります。

グルメ
とても自然が豊かな島で、栗をはじめ、マキと呼ばれる潅木の原生林で採れる木の実や海の魚、野生の猪など、古代の採集・狩猟生活を思わせるような食材が現代でも食卓を彩り、天の恵みを実感します。マキで採れる果実を使ったビールやリキュール、栗から作ったビールはコルシカ島ならではのアルコール飲料。放牧されて半分野生化しているような豚の肉を加工した生ハムやサラミや燻製肉、山羊の乳を固めた原始的な生チーズは、一度お試しの価値ありです。

お土産
一押しは蜂蜜。野生のミツバチがマキに咲く花を飛び回って集めた蜜は、味・香りともに最高級。シーズンによって花の種類が変わるので、ミエル・ド・マキ・ド・プランタン(春のマキの蜂蜜)、ミエル・ド・マキ・デ・テ(夏のマキの蜂蜜)、ミエル・ド・マキ・ド・トンヌ(冬のマキの蜂蜜)というふうに区別されます。味も色も季節で変わります。ミエル・ド・シャテニュレ(栗の蜂蜜)も名産品です。



それではよい旅を! Buen viaje! 【スペイン語】/Bon voyage!【フランス語】

 
 

 




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