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REPORT

 I 14日 車検 I 15日 公式練習1日目 I 16日 公式練習2日目 I 17日 公式練習3日目 I 17日 ファンフェスタ I 18日 オフデイ I 19日 決勝 I


 


#7 第87回パイクスピーク・ヒルクライム 決勝

2009パイクスピーク・ヒルクライムが終了しました。
私にはクオリファイのチャンピオンとして、スタート順を自由に選べる権利がありましたので、天候や路面状況などを考慮してビンテージカーの後にアンリミテッドクラスが出走することを選択しました。
アンリミテッドクラスの中ではクオリファイの遅い順でスタートするリバースオーダーです。

まず最初に、フォードRS200のマーク・レニソン選手がスタート。
プラクティス初日にエンジンがブロー(バルブが落ちてピストンやシリンダーヘッドがガタガタになった)し、急遽イギリスからエンジンを取り寄せての決勝だ。
中間タイムを聞いていると今ひとつタイムが伸びない。完走はできたがタイムは平凡な12分11秒561だった。
マーク選手の走行後のコメントは、「パイクスピークは予想を遙かに超える厳しいレースだ。十分に準備はしてきたつもりだったがパイクスピークのレベルではなかった。今年の経験を活かして来年も挑戦したいと思う」

続いてスタートラインについたのがスウェーデンチャンピオンのアンドレアス選手。
プラクティス2日目に大クラッシュを演じ、徹夜で修理をしてやってきた。メカニックは徹夜の連続だったそうだが走りはどうか?
大観衆の注目の中、元気良くスタート。しかし僅か3kmくらい行ったところで、何とまたまたクラッシュでリタイアしてしまった。原因はタイヤが外れてコントロール不能になったそうだが、どこかにタイヤをヒットさせたのかどうか定かではない。
あまりにも短いレースでアンドレアス選手の2009パイクスピークは終わった。

いよいよ元WRCチャンピオン、マーカス・グロンホルム選手のスタート。
アンドレアス選手リタイア直後のスタートとあって、フォードの応援団も大声援を送っている。

さすがに元WRCチャンピオンとあってこの厳しいコースを無事にこなして行く。
しかし、中間タイムが伸びない。想像以上にスローなペースでレースが続く。
結果は11分28秒963
ラジオのインタビューでは、エンジンが後半オーバーヒートしてパワーが下がった。また、途中からブレーキがだんだん効かなくなってきた(リアブレーキの使い過ぎで燃えていた)とのことだった。

最後は、クオリファイ・チャンピオンの私の番だ。
タイヤウォーマーをかけて70度くらいまで温めたタイヤを装着してスタートラインについた。
しかし何故か(すぐにスタートする予定が)待たされる。
スターターからエンジンストップのサインが出て、せっかく温めたタイヤの温度が低下するのでハラハラドキドキしながら待つ。
「TV局のヘリコプター待ちでもうしばらく待機」と言い渡されて、そのままスタートラインで待機。
待つことしばらくして、ようやくヘリが位置に着いたためエンジンスタートの合図が出る。

頭の中では、タイヤがどこまで冷えてグリップが下がったのか?
多くの選手がクラッシュしているがよほど路面状況が悪いのか?
雲が出始めているが天候はゴールまで持つのか?等々、不安がどんどん広がっていく。

これまでの経験を活かして安全第一で絶対完走!
そして新記録樹立のために準備した様々なことを思い出しながら、我がチームのエンジニア、メカニック、そしてマシンを信じて1stギアへ入れた。

グリーンフラッグと共にクラッチをミートしてスタート。タイヤのグリップ感が今一つのように感じながら1コーナーへと進入した。リアの流れを抑えながらマシーンの様子を探る。これまでに比べてグリップが少ないようだがマシンは順調だ。

最初のアスファルト区間はタイヤをいたわりながらスムーズな走りを心掛ける。
ピクニックグラウンドの先から私の得意なグラベル路面だ。グラベル路面には多くの砂利が乗っていて、プラクティスの時に比べてもはるかに滑りやすくグリップ感が無い。多くのコースアウト車が出ているのはこのせいだろう。
重くて深い砂利道を用心しながら攻めていく。しかし滑りやすくグリップ感が少ないために思うようにスピードに乗せられず苦しい走りが続く。中間点のグレンコブから再びアスファルト路面だ。

気を取り直してアスファルト路面でタイヤを消耗し過ぎないように慎重に攻める。1速ギアから4速まで使う、日本の「いろは坂」のようなヘアピンの連続だ。特に1速ギアでは気をつけないとホイールスピンし過ぎるとタイヤが大きく消耗してしまう。

急激な上り坂の連続をこなし、16マイルポイントを超えたところで、またグラベル区間へと入った。プラクティスの2日目に行われたトップセクションだ。
高速グラベルのこの区間は私が最も得意とするコースなので、最初のグラベル区間で滑り過ぎて思ったように攻められなかった分を取り戻すべくガンガンと攻めた。
しかしこのグラベル区間でも砂利が深くとても滑りやす状態が続く。天候不順のために路面の修復が進まず傷んだままなのだ。とても滑りやすく苦しい走りの連続であった。
何とか最終コーナーへと進入したところでコーナーの内側から日の丸が振られていて驚いた。ファンの方々の声援を受け大きなエネルギーをもらった気がする。

フイニッシュラインを越えて、私の2009パイクスピーク・チャレンジは終了した。

取材陣が待ち構えるパドックへと車を進め、ヘルメットを取りながら取材陣の目を見る。「おめでとう」の声はするがいまいち盛り上がりに欠ける。やはり記録は良くないのか・・・

車を降りたら何本ものマイクとTVカメラが待っていた。
開口一番タイム(10分15秒368)を告げられ感想を聞かれた。やはり予想通り新記録は出なかった。私自身では、この路面状況でこの記録は悪くないと思う。マーカス選手でさえ11分28秒963であった。(エンジンのオーバーヒートとリアブレーキトラブルなどが重なようだが結果は結果だ)

我がチームはエンジニアもメカニックもマシンも全て完璧な仕事をしたと思う。しかし、この4300mを超える高地での自然との戦いは、我々人間の力でどうにもならないことが多く、人間の非力さをまたもや思い知らされた1日だった。

フィニッシュしてしばらくしたら雨が降り、まもなく大粒の雹まで降ってきた!真夏にもかかわらずである・・・競技は危険とあって一時中断した。

今回のパイクスを振り返ってみると、1988年の最初の挑戦から21年間が過ぎたが、その間の経験を活かして今年のパイクスは素晴らしいレースが出来たと思います。エンジニア・メカニック・マシン全てが最高の出来だったと思います。しかし残念ながら天候と自然の猛威にだけは勝てなかった気がします。
10分の壁を破って新記録を樹立したいとの夢は消えていません。来年もチャレンジできるようならば4年連続5度目の『King of The Mountain』の称号に恥じないようなレースを、ディフェンディングチャンピオンとしてしたいと思います。

スポンサーの皆さんのご支援に御礼申し上げると同時に、さらなるご支援をよろしくお願い致します。
そして、世界中から応援していただいたファンの皆さんに心から感謝いたします。


2009年7月19日
コロラドスプリングス、パイクスピーク・ヒルクライム会場より
チームモンスタースポーツ with BC 田嶋 伸博

19 July 2009, Sunday

 

追記:
今回参加した日本人選手全員が完走しました。これは大きなニュースだと思います。
これまでにも多くの日本からの参加者がいたが、全員がノントラブルで完走したのは今回が初めてではないかと思います。
パイクスピークにはプロ・アマ問わず多くの方が参加しています。
日本の皆さんも、ぜひ世界一のヒルクライムに挑戦してください!


 

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速報:第87回パイクスピーク・ヒルクライム 決勝結果

モンスター田嶋 4年連続 総合優勝!

ドライバー ネーム 車両 タイム
田嶋 伸博 Suzuki SX4 10:15.368
ポール・ダレンバック Chevy 10:52.097
マーカス・グロンホルム Ford Fiesta 11:28.963

PPIHC web site >>



 

 

 


#6 オフデイ TVインタビュー

今日はオフデイで走行が無い日となりますが、各チームとも明日の決勝に向けてマシンメンテナンスに余念がないことでしょう。もちろん、私たち「チームモンスタースポーツ with BC」もマシンを入念に整備し、万全の体制を整えました。

今日、TVのインタビューを受け、その後オンボードカメラ3台を車載にしました。今回は30台の地上カメラとヘリからの空撮、そしてオンボードカメラ・・・大変な数のカメラです。

多くの人達が10分の壁を破ってくれると信じています。マーカス+フィエスタの登場でより確実になったとの判断が、さらに今年のパイクスピーク・ヒルクライムを盛り上げています。私達も期待に応えられるように頑張ります。

明日の決勝では、アンリミテッドクラスのスタート順を決められる権利を、私だけが持っています。(クオリファイ(予選)でトップタイムを出したからです)
私は自分の希望でアンリミテッドクラスをいつでもスタートさせることができます。

今年のパイクスのスタート順は二輪が先に走ると公式通知が出ています! 二輪の走行後は多くのタイヤの跡が縦横に走っていて、タイムを出すどころか危険な感じすらするほどです。

また、いつも午後から雨になるので遅い午前中に走るのがベストです。
そこで考えられる可能性を考えてみると、

1、二輪の前に走って路面がクリーンになるようにビンテージカーの次に走る。(1号車はいつも砂利かき役なので・・)

2、四輪の中で出来るだけ遅くスタートするようにして、応援に来てくれた人へ感謝を申し上げたい。

記録を更新するためには二輪の前しかないので、ビンテージカーの後で走るつもりです。
応援よろしくお願い致します!



パイクスピークより
田嶋 伸博
18 July 2009, Saturday

 


 

 

 


#5 ファンフェスタ

今日はクオリファイが終了した後、午後3時過ぎから11時ごろまで恒例のファンフェスタが開催されました。

コロラドスプリングスの目抜き通りを閉鎖して、地元のお祭りとして多くの出店が立ち並び、TV局やFMラジオ局が生中継でガンガン盛り上げます。マーカスも私もTVのライブ番組でOn Airされましたよ!

私達はクオリファイトップタイムのチームとして街のど真ん中に展示されました。多くのファンが押しかけサイン攻めで大変でした。(日本でもいつかこのようにモータースポーツが認められる日が来ればよいのに・・・)

ファンフェスタ会場に哀川さんが応援に来てくれました!
彼もパイクスピークを楽しんでいるようです。



 

パイクスピークより
田嶋 伸博
17 July 2009, Friday

 


 

 


#4 公式練習3日目/予選 ボトムセクション

17日 金曜日、快晴。プラクティス3日目と合わせてクオリファイが行われました。
毎日アクシデントが起きて、車両を引き上げるために多くの時間を費やすので3回しか走れない。特に、今日のボトムセクションは最も難しいコースだからなおさらです。

オフィシャルから1回目はスリッパリーだから十分に気をつけていくようにと、ドライバーズブリーフィングで注意があったのだが・・・
やはりスタートするとドライバーはコントロール不能!? になるのか、またしても多くのコースアウトが続出して何度もコースがクローズドされてしまいました。

私のスタートまでだいぶ待たされたが、なんとか最初のトライを迎えた。朝の冷えた路面とタイヤではグリップがとても少なく非常に危険な状態。あまり無理せずに車の調子と路面の様子を探りながら走った。

1回目、結果は 4分44秒046。マーカスは4分51秒624

スリッパリーな路面の割にはまあまあなタイムで安心できました。タイヤはバフをかけて3mmほど削り舗装路面での性能を上げたタイヤを使用。

2回目は4分37秒311、マーカスは4分50秒071

新品のタイヤを60度くらいまでタイヤウォーマーで温めてスタートした。温度を上げているせいで最初から気持ちの良いグリップ感があって走りやすい。タイムも上がってご機嫌です。

3回目は4分36秒230、マーカスは4分45秒462

1回目のタイヤを温めて使ったが、スタートラインに着いてから事故のせいで待たされてしまい、タイヤ温度が低下したのかあまり感触も良くなく1秒しか詰ままらなかった。フイーリングでは2秒は縮まったと思ったのだが・・

しかし驚きはフイニッシュラインの後で起きた!チェッカーフラッグを受けた後でいきなり赤旗が出た。何かと思ったら前走車のマーカスが白煙を上げて路肩に止まっている。
後で聞いたのだが、勝負をかけて挑んだクォリファイでエンジンが悲鳴を上げて止まったようだ。ブーストの上げ過ぎではないか?

明日はメンテナンスのために休日が設けられているので万全を期してくることでしょう。しかし、フォードのメカニックはRS200にフィエスタ2台の修理と、おそらく寝る間もないのでは・・・
19日のレースデーには3台揃って来てくれることを願いたい。

私も、パイクスピーク・ヒルクライムのファンの期待に応えられるようなレースをして新記録を樹立したいと思います。応援よろしくお願いします。

 

パイクスピークより
田嶋 伸博
17 July 2009, Friday

 


 

 

 


#3 公式練習2日目 トップセクション

本日も快晴で素晴らしい1日となりました。
走行する場所はトップセクションのためオールグラベルコース。グラベルの大好きな私が最も得意とするコースです。

しかし、残念ながらコースは昨晩の雷雨のせいでヘビーウエットな個所がいくつもあり、かなり滑りやすく要注意! 慎重に路面を見極めながらの走行となりました。
その滑りやすい路面で1回目のトライ開始早々アクシデントが発生しました。フォードフィエスタのアンドレアス・エリクソン選手が大転倒! 昨日のマーク・レニンソン選手に引き続きアンリミテッドクラス2台目のクラッシュとなりました。

プラクティスはレースデイと違って早朝に行われるため、路面温度が低く、表面に砂利なども乗っていることが多い。滑りやすく、あまり気合を入れて挑むと危険なのです!
これまでもクラッシュはたいてい初日か1回目のトライで起きていることを思い出し、明日のプラクティス最終日も気をつけて走らないといけないと再確認しました。

パイクスピーク頂上は4310mもあるので、朝は凍っている場所があり、万年雪も残っているくらいだから真夏の今でも本当に冷え込みます。その頂上で朝日を拝み、ご来光に必勝祈願をしました。

 

パイクスピークより
田嶋 伸博
16 July 2009, Thursday

 

追加情報
タイムは非公式ながら、1位:田嶋伸博 2分57秒45、2位:グロンホルム選手 3分4秒47です。
PPIHC公式サイトで一部のタイムが表示されないのはWEBシステムの不具合(現在修復中)とのこと。(日本時間 17日13時50分現在)


 

 


#2 公式練習1日目 ミドルセクション

いよいよ3日間のプラクティス(公式練習)がはじまりました。
今日は100%アスファルトのコースでしたが、私達は決勝の状況を想定したセッテイングを心掛けました。
路面温度は6度、快晴。経験豊富な我チームは全て順調に進んでいます。

今日は初走行となりましたので、他のエントラントの状況もお知らせしましょう。
今年初めて参加したフォードフィエスタチームは、マーカス選手もアンドレアス選手も徐々に調子を上げてきています。途中、マーカス車のボンネットが開くハプニングがありましたが、無事にフイニッシュして事なきを得ました。マシンは高地補正がうまくいかずにセッテイングに苦しんでいるようです。

フォードRS200のマーク・レニソン選手は最初のトライでエンジントラブル。白煙を吐きながらストップしました。今日修理できるのかわかりません。

元気なのはオープンホイールの98番ダレンバック選手。
今年、10分を最初に切るために新エンジンやタイヤなどを用意して万全を期してきています。軽い車体に舗装用タイヤで今日の100%アスファルト路面にかけて走っていました。しかし決勝ではグラベルタイヤにせざるを得ないので、今日のタイムはミドルでも出ないと思いますが・・

俳優の哀川翔さんも奴田原選手をコドライバーに乗せて元気よく走っています。
EVバギーの塙選手も順調に初日を終えたようです。
今日は数台のコースアウトがありました。熱くなりすぎず、決勝に向けて着実にセッティングを詰めて行きたいですね。

明日は100%グラベルのトップセクションを走行します。
ますます気圧が下がりますからセッティングが重要になってきますね。
明日でほぼ今大会の様子が見えると思います。

 

パイクスピークより
田嶋 伸博
15 July 2009, Wednesday

 

追加情報
公式練習1日目のタイムはまだ発表されていませんが、非公式ながら、田嶋 伸博がトップ、約1秒差でダレンバック選手、その後ろにグロンホルム選手との情報が入りました。(日本時間 16日17時30分現在)


 

 


#1 7月14日 車検

皆さん、こんにちは!
今年も現地からパイクスピーク・ヒルクライムの"生の"レポートをお届けします。

今日、14日は朝からレース車検が行われました。安全面を中心に行われる厳しいレース前車検でしたが、我々は全ての車検を一回でパスして"モンスタースポーツ with BC"チームの経験の深さを示しました。

今年は、哀川 翔さんも参加するとあって、日本人関係者も多数来ていて例年以上に盛り上がっています。
また今年の"モンスタースポーツ with BC"チームのTシャツはとても人気が高くて、車検の時に何人もの観客から売って欲しいと頼まれたほどでした。

これからコースのレッキ(下見)に行ってきます。
それでは!

 

パイクスピークより
田嶋 伸博
14 July 2009, Tuesday
 

 

 
         

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